【そうだ】Ever17 -the out of infinity- Premium Edition レビュー【LeMUに行こう】

今年は残暑が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
こちら北海道も9月の下旬に入り、ようやく涼しくなってきました。
そんな暑かった中で涼しさを求めて手をつけたのがこれ。ever17

久しぶりのノベルゲームです。
ギャルゲー的なノベルゲームは多分「AIR」以来じゃないかなw
DC、PS2PSPXbox360など色々なハードで発売されていますが、やったのはPS2版のSuperLite2000版。おまけのCGアルバムがちょっと追加されているらしいです。

トーリーは事故により海底テーマパーク施設LeMUに閉じ込められてしまうというもの。
脱出方法を探しつつ、女の子とちょいとラブストーリーしつつ、その中で起こる不可解な出来事に違和感を感じつつ、LeMU崩壊までの7日間を過ごします。
最初にメンバーの中の二人の男性キャラのうちどちらかの視点でプレイするか選択することができます。しかし複線がわかりにくくなるので、先に武編でのプレイを推奨します。

シナリオについては当然クリアするまで絶対に検索してはいけないってくらいに「ネタバレ禁止」のため、ネタバレしない方向で感想を。
登場人物構成から美少女ものということにもなりますが、シナリオはSF色のほうが強くなっています。
だから、自分の中では「AIR」と比べてもプレイしやすく、実際自分の中での評価も高いです。女子プレイヤーでも気にせず手を出しやすいのは大事だよね。
このゲームのシナリオについては、序盤から中盤までに出てきた複線、または不明にしてきた点を最終シナリオで回収するところに魅力があります。今まで一番引っかかっていた点がスッと通る感じにわかっていくことがとても快感。
最終シナリオを読む前に、自分で複線を整理し真相をある程度推理するのも楽しいです。完全に推理を完成させるにはヒントが足りなさ過ぎるけどね。
しかし、細かい謎の解明はそのまま置いてけぼりになってしまったのはちょっと残念。
海底という厳しい環境の中のため、(主に水圧的な意味で)「いくらなんでもそれをやるのは無理じゃねーか」という点はあったけれど、それ以外は大体最初から出してあった設定の中でぐいっと収まる仕掛けになっているから、まぁまぁ納得もいきます。まぁまぁだけどね!
登場人物たちも性格的には魅力的で、みんなの頑張る姿を見届けた後の大団円のエンディングも素直に「よかったね!」と言えるものになっていました。

しかし欠点もありますね。
まず水圧、気圧等の状況説明が非常に長く、ゲーム内の7日間中最初2日間がとても長く感じます。
世界観説明として考えてもちょっと長すぎかも。
このあたりはリメイクのXbox版では大分カット&仕掛けもわかりやすくなっているようですね。ボリュームもダウンしたみたいだけど。
パッケージなんかには「徐々に失っていく食料、酸素・・・」みたいな紹介がされているので、脱出パニック物とも思われがちですが、実際は余裕で足りてるようで、そのへんはそこまでの緊張感はないです。わりと最終日まで、「追い詰められてる感」は最低限の描写になっています。
そのため、「中だるみしている」という意見もあり、その辺で挫折してしまう人も多い様子。複線をミスリードさせるための鍵を提示するためにも一見意味のありそうでなさそうな会話をはさむことでそうなってしまっているのかなとも思います。
登場人物たち(とくに優・つぐみ)があっさりと設備の修理をしたり怪我人の手術をしたり機械の操作をしたりと、普通の女の子にしては理由の説明なく万能に描かれてすぎているのもちょっと気にはなったところ。あとは、最終シナリオのヒロインが一番電波だったことかな・・・。そこまでも理由があるのかとちょっと勘ぐったけど結局なかったし。
そのあたりは都合のいいギャルゲーと割り切ったほうがいいかも?

文章を読み進めるというゲームのシステムはとても優秀で、音声まで聞きなおしが可能なバックや、スキップはもちろん、自動での早送り機能は度も読み進めなくてはならないゲームの性質上非常に嬉しかったです。
また、普通のノベルゲームだとボタン連打して読み進めていくと選択肢にあたったときにそのまま一番上とかの選択肢が選ばれてしまったりしますが、これはちゃんとキーで選択されるまでカーソルが表示させないようにしてあったり、選択肢が出ると効果音が鳴ったりして選択ミスしないようになっており、かなり快適にプレイすることができます。
細かいけど、この心遣いはすごく評価してるところ。
特典として選択肢と既読メッセージ、総プレイ時間の達成率が表示されます。わたしは100%までクリアできました。達成はわりと簡単にできるかと思います。攻略無しでも選択肢はコンプリートできたし、攻略サイト見ながらメッセージを確認したらランダムで表示されるところだけだったというオチ。コンプリートまでは48時間程度。多分これでも無駄に時間かけちゃったほう。

ノベルゲームとして本と区別する点では、ゲームの性質である「主人公の主観で見る」(ほんの若干のネタバレ)仕組みをうまく使った仕掛けになっていて、映像化は無理、小説だとわかりにくくなってしまうと思います。
評価は高めではありますが、期待しすぎると「こんなもんか」で終わってしまうなといった印象。スッキリはしたけど現実的には「そりゃやっぱり無理だろう」「ご都合主義」って思っちゃう。一気にはプレイしてしまったけど信者にまではなれなかった。
あまり予備知識は入れないほうがいいですね。ネタバレはもっと駄目だし。
多少のご都合主義でも目を瞑れる方なら、やってみてもいいかもしれないですね。

axpicm