震災の時お世話になった方にお礼を言えた話

胆振東部地震から1年が経った。 

地震あったときは一応起きてた。

初期微動の時点で地響きみたいなのがしてて、これは変だと思っていたらやっぱりすごい揺れが来たから目の前のぬいぐるみと通勤バッグをつかんで2階から階段を降りて出口を確保しに行った。降りながらやっとわかった。コレは下手したら転ぶ程の揺れだと。それでもなんとか転ばず怪我もすることはなかったけど。

地震の直後に停電になってしまい、その停電が丸2日続いた。揺れたのが9月のまだ暑い時期でよかった。冬だったら凍死者も出ていたかもしれない。

部屋のものも目立って落ちたものは飾り棚とかで、食器棚や本棚はほとんど倒れてこなかった。怪我はかけた食器のかけらにひっかかって指を切った程度だ。

家族もいるし家に備えや蓄えてあるものはあったので幸い命の危機を感じることはなかったけれど、地震の被害状況も新聞で知ったし、2日間であってもいつもと同じことができない非日常というのはとても不安になった。仕事もできなくて止まってるし。

家にいてもラジオをきいているくらいしかやることがなく、周囲のことは何もわからないなと思い、外に出ると信号も最初1日はついてなかった。
スーパーやコンビニはどこもレジが使えないので、ものすごい行列になっていた。食料はあんなに並んで買わなければならないのか…とゲンナリした。

そんなとき大型スーパーの隅に焼き菓子売りのワゴン車がとまっていて、シャッターがあいていた。お菓子でも貴重な食料だ、しかもすぐに買えるならありがたい…と車にいた店の人に「売ってますか?」と声をかけてみた。そしたら「電気が来ないと売り物にならないので、ひと袋どうぞ」と1番小さな袋詰めのものを貰ってしまった。「大変でしたね。今度ちゃんと買いに来てね。」と。

申し訳ないから返そうと思ったけれど、いいからと促されてしまい、結局貰ってきてしまった。でも、ずっと心細かった中、励ましてもらってとても嬉しかった。そしてそのお菓子も美味しいこと美味しいこと…わたしは絶対に約束を果たすことを決めたのだった。

なんとかお礼を言いたいと思って系列らしい店舗を探してみるも、名前が近くてまぎらわしいけどやはり違ったらしく、どうしようかとモヤモヤ思っていた春先に、またスーパーの前に同じワゴン車を見つけた。

店員さんに「去年の震災の時もいましたよね?」と声をかけたら、ご本人の奥さんだったそうで、わたしと会ったときの話も聞いていたらしい。「あの時の方なんですか?!」とびっくりされた。

そして初夏ごろにまた同じワゴン車が来ているところを見つけてまたお菓子を買い物して店員さんに声をかけた。
今度はご本人だった。その時のお菓子と励ましのお礼しっかりすることができた。
元気そうでよかったって言われてほんとにいい人だなってうれしかったし、頑張ってほしいと思ったし、なにより言えて自分でも本当にスッキリした。
やはり感謝は伝えるべきものだな。